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機長日記

買ったものとか、情報系評論/オーディオドラマ制作サークル超電磁弾痕のこととか

落ち崩される女教師を描く異色作『Chain ―チェイン―』雑破業

雑破業

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 生徒たちに弱みを握られた女教師が脅迫されて、為すがままに犯される。オーソドックスなポルノ小説の定石を描いた本作は、ティーンの恋愛をベースに爽やかなラストシーンを紡いだ作品が多く描かれる雑破業作品の中では異色作となった。

 小野寺貴美子は、私立桜林学園の教師。学園の理事の1人でもあり町の有力者の息子である滝沢一樹とクラスメイトが、末次恵をレイプしている現場を偶然目撃してしまった貴美子。逆上した一樹達に貴美子自身もレイプされてしまい、それをネタに脅される立場となってしまう。

 本作の主人公・小野寺貴美子は、女教師の型にはめたような理知的な美貌を持つ人物である。物語の序盤では、寝起きの貴美子が朝の支度と共に無防備なただの女性”小野寺貴美子”から、私立桜林学園の”小野寺先生”として形作られて行く姿が丹念に描かれる。その直後に描かれるレイプシーンでは貴美子を教師として形作っているスーツを、パンストを、スリットを乱される程にただの”小野寺貴美子”に落ち崩されていく様を雑破業による湿度の高い文章と鬼窪浩久による汁気たっぷりな挿絵が艶っぽく盛り上げる。

 もうひとりのヒロインである恵は、控えめな胸や可愛らしいパンティなど、少女と呼ぶに相応しいロリ娘だ。大人しい性格の恵。一樹達から脅されていることもあり、言われるがままに犯され続ける。あとがきでも触れられている通り、ハードだけどエグくない。レイプシーンは『ゆんゆん☆パラダイス』のシェパードを彷彿とさせる絶妙さを持って描かれる。

 ふたりのヒロインは、一樹達からの”鎖”から逃れることが出来るのだろうか。ポルノとしてだけでなくサスペンスを読むように楽しむのも小意気がよい。

Chain ―チェイン―
本文イラストレーション:鬼窪浩久
本文デザイン:白井典子、艸、赤穂涼子
1998年10月25日:初版発行
著者:雑破 業
イラスト:鬼窪 浩久
発行人:高橋栄造
編集担当:梶山 聡
発行所:辰巳出版株式会社
写植・版下:株式会社スタジオ パトリ
印刷所:光栄印刷株式会社
ISBN:4-88641-350-1 C0293

チェイン (NEO NOVELS)

チェイン (NEO NOVELS)

 

ぼくたちの雑破業クロニクル 疾風!嵐のフランス書院・ナポレオン文庫編

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Wヒロインを美しく描く『アナと雪の女王』

アニメ

 3DCGによる綺羅びやかなビジュアルと軽快なミュージカルシーン、ストレートな物語がしっかりと組み合わさった、力強い作品が出来上がった。『アナと雪の女王』は、アンデルセン童話『雪の女王』をモチーフにして作られたディズニーによる長編3DCGアニメーション。

  主人公のエルサとアナは、アレンデール王家に生まれた姉妹だ。氷や雪を作り出す魔法を生まれ持ったエルサは、魔法の力が制御出来るようになるまで、城の中に1人で閉じこもって暮らしていた。数年ぶりに城を開放することとなったエルサの戴冠式典の日。妹のアナとの口論を切っ掛けに魔法の力を暴走させてしまったエルサは雪山へと逃げこんでしまう。物語は、エルサを追って雪山へ向かったアナが道中で出会う人々との交流が縦軸。自身の力を恐れ、自分のありようについて悩むエルサのドラマと真実の愛とは何かを捜し求めるアナのドラマがミュージカルシーンで美しくに描かれる。

 第一の見どころは雪や氷の描写だ。冒頭で描かれる氷の切り出しを行う人々のシーンや雪山の道中で描かれるツララ。美しい雪の世界が3DCGならではの透明感で描かれる。

 第二の見どころは個性豊かなキャラクターたちだ。戴冠式の日にアナが出会ったサザンアイルズ王国の末っ子王子ハンスや氷売りのクリストフと相棒のトナカイ・スヴェン、夏に憧れる雪だるまのオラフ。時に楽しく時に物語の核心にアナとエルサを誘う。

 物語の転換点に一つ、雪山に逃げてしまったエルサが本作の主題歌である『Let it go』を歌いながら自らの魔法で氷の城を作るミュージカルシーンがある。人の目に怯えながら過ごしてきたエルサが様々なしがらみから開放され伸びやかに歌うシーンが美しく描かれる。国を捨て雪山に逃げてしまったエルサの行動は過ちかもしれない。しかし、その時の経験があるから今の自分がいる。二人が過ごしたそれぞれの人生を否定することなく、美しく肯定的に描き切った力強さが作品の屋台骨をしっかりと支えているからこそ『アナと雪の女王』は優しさに満ち溢れているのだ。

 

 

雑破業/冬香れん「KIDS PARTY」掲載「小説・少年天使 VOL.1」を探して。

雑破業

 雑破業先生の作品を網羅的に紹介する同人誌『雑破業クロニクル』を作るために未知の雑破業先生の作品を探し歩いている。

 そんな中、『Chain ―チェイン―』(1998/10/25発行)のあとがきに「ショタコン小説紙に原稿をかいたり、」と書かれていることに気がついた。前々から雑破業先生の単行本未収録作品の有無をどう確認するのが課題になっている一方で、気にしないことにしようかとも思っていたが、やっぱり気になる。どう見つけ出すかが思いつかないのでまずはネットで調べることにした。

166永山薫[97/12/11 22:20]

tc-6-103.tokyo.gol.ne.jp >かなかのりみさん くーっ、コタツなしじゃツライっしょ。 小説・少年天使ってのが出ましたね。 雑破業も書いてますよ。 私も、これから読むんですけどね。

http://www.reocities.com/tokyo/ginza/3749/log02.html

 それっぽいNIFTYのログ?(何のログだろうか?)を見つける。発言者が永山薫さんで流石っす!!って感じだ。

 「小説・少年天使」で検索するとショタ関連作品を纏めているサイトであっさり見つかる。

小説・少年天使 VOL.1
(COMIC-ピアりん1月増刊号)
【小説/イラスト】
 雑破業/冬香れん「KIDS PARTY」

http://www.sol.dti.ne.jp/~sayamoti/smgsp/museum/magazine/novel-sho-ten/novel-sho-ten.htm

 この人のサイトをひっくり返すとまだまだ見つかりそうで楽しみだ。

 別件だが、かーずSPさんの同人誌『まじカル!A`s』のコラムに雑破業先生が参加していることを知る。

■それではページの順番にライター陣と内容をご紹介します。

・『ちょこッとSister』の原作者にしてアニメ脚本家として活躍中の雑破業先生に萌えキャラについて語ってもらいました……『恋姫無双』とスケジュールが被っていたとか……スイマセン汗

かーずSP : まじカル!A`s 告知ページ

 どちらもサクっと買えるといいんですがのう。

緊張と弛緩に沈み行く心と体。『Child Play ~委員長の秘められた欲望~』雑破業

雑破業

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 張り詰めた心と強張る体から逃れた時の安らぎに勝るものはない。氷川静貴は私立秀英高校のクラス委員長。家でも学校でも、ワガママや駄々もこねない所謂「いい子」である静貴の緊張と弛緩の快楽を描いた作品が『Child Play ~委員長の秘められた欲望~』だ。

 年齢とともに比例して優等生を演じる負担は大きくなっていった静貴が「いい子」の仮面から逃れるように隠れて買ったバイブレーター。静貴は、夜な夜な息を潜めながら自らを慰めていた。そんなある日、文化祭の女装喫茶で使う衣装の用意を押し付けられてしまった静貴。貸衣装屋で見つけた幼稚園児の衣装と幼いころの何も知らない無邪気で幸せだった日々を重ね合わせ始め……。

 作中で静貴がようやく手に入れた日頃の苦しみから解放。そんな密やかで幸せな一時も永遠のものではない。物語の中盤で登場するクラスメイトの加藤が静貴の倒錯と物語を更に加速させる。短い時間の中で繰り返される緊張と弛緩。湿度の高い濃厚なラブシーンの快楽に静貴は深く深く沈んでいく。

 誰しもが集団の中で生きていくには、自分の思いをグッと殺さなければいけない瞬間が多かれ少なかれ存在する。そんな誰にも明かすことのない思いの吐露を丹念に描く。雑破業による読み手の心根に染み入るような心理描写が本作を忘れ難き作品にしている。

Child Play ~委員長の秘められた欲望~
本文イラストレーション:水無月十三
本文デザイン:白井典子、草
1997年6月25日:初版発行
著者:雑破 業
イラスト:水無月 十三
発行人:高橋栄造
編集担当:梶山 聡
発行所:辰巳出版株式会社
写植・版下:有限会社光洋写植
印刷所:光栄印刷株式会社
ISBN:4-88641-220-3 C0293

ぼくたちの雑破業クロニクル 疾風!嵐のフランス書院・ナポレオン文庫編

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多彩な花の中で際立つ純白の花嫁『シンデレラ狂想曲』雑破業

雑破業

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 物語の序盤。読者がヒロインと恋に落ちるかが勝負だ。

 周防茂樹は、17歳の高校三年生。両親を亡くして身寄りのなかった茂樹は、新聞配達所を営む夫婦のもとで新聞配達をしながら暮らしていた。貧乏にも負けず、ごくごく普通の高校生活を送っていた茂樹は、大企業スオウグループ会長周防茂造の孫であることが判明し、茂造の屋敷に暮らすことになった。茂樹の身の回りの世話を任されたメイド森深冬の存在やベンツでの送り迎えなど、慣れないお金持ちの生活に茂樹は戸惑う。そんなある日、仕事で失敗してしまった深冬に宣告された解雇宣告。解雇を撤回するために茂造が提示した条件は、次の土曜日までに茂樹が自分の結婚相手を見つけること。今、シンデレラ・ボーイの花嫁探しから始まる狂想曲の第一音が高らかに鳴り響いた。

 本作のみどころは、バラエティに富んだヒロインたちの誘惑と包容力の裏に見え隠れする深冬の無邪気で愛らしい姿。茂樹の貞操を狙う、大人びた雰囲気の不良少女の麻生夏姫、コスプレ好きなロリっ娘野々村春美、ムチムチボディのThe女教師高坂秋子。茂樹が結婚相手を探していると知った三人のヒロインたちが玉の輿に乗るべく、三者三様に茂樹を誘惑する姿が楽しい。三人のヒロインたちとは対照的に深冬のセクシーなシーンは、パンチラやスケブラの描写に留まる。シルクのように純真な深冬が重ねていくエピソードは、濃厚なラブシーンに負けず劣らず、思わず前かがみになること請け合い。あなたや茂樹が最後に手を取るのは一体誰の手なのだろうか。

シンデレラ狂想曲
本文イラストレーション:ひぢり れい
本文デザイン:白井 典子、蒼
1996年12月25日:初版発行
著者:雑破 業
発行人:高橋栄造
編集担当:梶山 聡
発行所:辰巳出版株式会社
写植・版下:有限会社光洋写植
印刷所:光栄印刷株式会社
ISBN:4-88641-170-3

 

ぼくたちの雑破業クロニクル 疾風!嵐のフランス書院・ナポレオン文庫編

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ラブシーンと終演、湿度の対比『彼女が髪を切った理由 [後編]』雑破業

雑破業

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 前編から引き続く湿度の高いラブシーンと爽快な結末の対比が印象的な本。

 父の海外赴任を切っ掛けにして夏川家に暮らす三姉妹と同居することになった高梨修作。女の子とロクに話せないようなオクテの修作は、長女・小百合と三女・菜々のあまーい誘惑に負けてイケナイ関係になってしまう。

 『ゆんゆん☆パラダイス』で描かれた爛漫な性格で人の心にスッと入り込むロリ娘や恥ずかしがり屋でいじらしいショタのイメージが強い雑破業。本作で描かれる3姉妹の長女でおっとりとした小百合の姉キャラっぷりが良い。女性慣れしていない少年がオトナの余裕に弄ばれドキマギする。雑破業による読者の心に寄り添うような心理描写が修作と読者のドキマギをピタリと縫合させる。おませなロリータの末妹・奈々による爛漫ぶりも健在で菜々のキュートなおねだりが修作と物語をググっとリードする。

 ナポレオン文庫時代の雑破業作品は、一人のヒロインとのラブシーンを丹念に描く作品を中心に描いた。本作以降では、1つの物語を紡ぐ小説媒体でありながらPCノベルゲームを彷彿とさせるような主人公と様々なヒロインたちとのラブシーンがたっぷりと描かれる作品が雑破業作品の顔ぶれに加わっていく。

 本作と次作『シンデレラ狂想曲』では両作ともにメインヒロインとのラブシーンが描かれない。どちらの作品もラブシーンに負けることのない、登場人物たちの心にそっと触れるような愛情のあるエピソードが紡ぐエピローグによる、爽快な読後感は特筆すべき特徴のひとつだ。

彼女が髪を切った理由 [後編]
カバーイラスト:佐野タカシ
カバーデザイン:宗像知行
本文デザイン:高野あかね、石川順子
1996年3月25日:初版発行(電子書籍販売サイト電子書店パピレスの記載に準ずる)
著者:雑破 業
発行人:高橋栄造
発行所:辰巳出版株式会社
写植・版下:平山写真植字社
印刷所:大日本印刷株式会社
ISBN:4-88641-126-6 C0293

ぼくたちの雑破業クロニクル 疾風!嵐のフランス書院・ナポレオン文庫編

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クリムゾン作品「くっ・・・殺せ!」の覚書き

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クリムゾンが創作を行う上での「こだわり」について書かれたツイートが話題だ。

クリムゾンは、主に成人向け漫画を執筆している漫画家で同名のサークルを主催している。気の強い女性が屈服するストーリーや独特なセリフ回しと擬音が特徴的なサークルだ。FF7のヒロイン・ティファが元ネタの同人誌『あなたが望むなら私何をされてもいいわ』やネット上で見かける「くやしい…!でも…感じちゃう!」や「ビクッビクッ」というセリフや擬音で知っている人も多いのではないだろうか。

果実総集編

今回のツイートに関して、クリムゾンファンの誰しもが思う疑問がある。「あれ、『紋章の傷痕』は?」と。

『紋章の傷痕』は、2000年に頒布された任天堂によるSRPGファイアーエムブレム』の2次創作。功績をあげてマルスに認められようと単独でノルダの奴隷市に向かったシーダ。しかし、深い森に入ったシーダは、気がつくとならず者たちに囲まれていた……。

本作では、ならず者に囲まれたシーダが自らのことを「殺しなさい!」と言っているのだ。

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また、柔らかな地面では無く、その辺の地面に押し倒されている。(小石が痛そう!)

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なぜ、本作に限って例外的に禁じ手を多用されているのか?その答えは、本作がクリムゾンのホームページ内で行われたショートストーリー募集企画「クリムゾン補完計画」に投稿された『絶望の天馬騎士』(作/N.O)をマンガ化した作品であるためだと思われる。つまり、本件はクリムゾン自らが創作した物語ではないため、セーフであることをここで明記したい。また、「クリムゾンのヒロインは確かに気高いですが、生に執着があるので自ら殺せとは言わないのです。」の文章の「クリムゾンのヒロイン」がクリムゾンのオリジナルキャラクターを指している場合は、なおのことセーフだ。

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http://web.archive.org/web/20040622052823/http://www.alles.or.jp/~uir/comic3.htm

ちなみに元になった小説『絶望の天馬騎士』(作/N.O)では、「クッ…こ…殺しなさいッ!ドルーアの捕虜になるくらいなら死んだほうがマシよッ!」という台詞があり、モロに「くっ・・・殺せ!」だったのでこれもまたセーフ!なのであった。

敏感アイドルと快感ゴースト 上巻 (ヤングキングコミックス)

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